■荘淑旂(ソウ・シュク・キ)医師の考え方を著書から抜粋


S58-11-25創刊の「からだに合った食べ方」より 
はじめに  環境の汚染、食品公害などと、私たちの日常生活は脅かされる一方のように感じられます。 自分だけ気を付けても仕方がない・・・・・・・こんな気持ちの方もおいでになるのではないでしょうか。
「天下無難事」天下に難しいことはないのです
「只怕有心人」難しいのは心を迷わせるためです
「有志者事竟成」その人が強い志をもってあたれば、必ずことは成し遂げられます。

 自然というものは、実に偉大な力を持っています。人間が誤って自然破壊をしても、そのなかに秘めた大きな大きな力で、再び元の姿に立ち返っていきます。そのような自然の姿に、私たちは心からの感動を覚えるでしょう。
 しかし、この自然の更生力は、実は人間にも備わっているのです。
これを「自力更生」と呼びますが、自力更生の力は、人間を含めてすべての生物が持っているのです。

「天下無難事」の考え方をしっかりと心に刻んでいる人は、自分が環境に負けてしまうのではなく、自分が環境を支配できるようになるのです。
 自然のもつ無限の力が、自分の体内にも恵まれている 喜びを知れば、その感謝の気持ちも手伝って、自力更生力はさらに高められていくことでしょう。
 自力更生、つまり、自分が本当に健康になるチャンスをつかむことが、天下無難事への道ですが、その一つのきっかけとして、この本が皆さんのお役に立つことを、私は確信しています。

  一日24時間の配分、つまり起床から就寝、一日の飲食のあり方が、どのようになされているかが問題なのです。この本は、私たち人間の生命や健康をつかさどる「食物」を受け入れ側(人体側)から考慮して書いたもので、このとおりに実行されれば、心身の内服整形ができ、自分自身だけでなく、 家族の健康や幸せも約束されて、本当に平和で有意義な生き方ができるでしょう。
 どんなに栄養のある食物でも、それを受け入れる人間の心や体が健康でなければ、その食物は体内では糧になりません。そればかりか、栄養があること自体が逆に害になることさえあります。

 水や肥料をやりすぎたシクラメンの花は、栄養過剰のために、元気をなくして首をうなだれますが、このときに受け入れ側のシクラメンの状態を良く理解せずに、さらに水を与えたばあいには、花は生き返るどころか根腐れして枯れてしまいます。

 栄養過剰や、偏った食べ方によって生じる がんや成人病、あるいは、過食が続いて内臓が疲れ切っているすきに乗じて入り込んでくる、食べ疲れのかぜなど、すべて受け入れ側の状態を知らないための病気といえるでしょう。
 皆さんが、このような過ちを犯されないために、ぜひ食物の受け入れ側の知識を身につけてください。

  本書は、私が長い年月をかけて、患者をはじめ、あらゆる病気を持った方々の生活調査、健康管理をさせていただいた体験から得た貴重な資料を基に書きました。 一人でも多くの方が、生涯でしあわせな人生を送ってほしいと願う私の気持ちを、皆さんご自身の手で、 受け取っていただければ本当にありがたいと思っております。

荘淑旂
内服整形  内服整形というのは、一日三度の毎日の食事を、自分の体に合ったものを食べていくことによって、体型を整えようという食養生法です。 それならだれにでもできる簡単なことと、思われるかもしれません。が、しかし、内服整形をするためには、一つ一つの食べものが人体に入ったときに、どのように有効に働くか、あるいは逆に、体内諸器官の働きの妨げになるかをよく知っておかなければなりません。

 例えば、疲労回復に役立つからと言って、 梅干を毎日2~3個ずつ食べたり、酢を飲むという極端なことをする人もいます。しかし、このようなことを下腹が出ている体型の人がしたら、どうなると思いますか。 下腹が出ている体型は、内臓下垂のためですが、この体型の人が体によいからといって毎日梅干を食べ続けていると、体の皮下脂肪がとれて痩せていきます。 また、内臓を支えている筋肉もやせ衰えて力がなくなるので、内臓はさらに下がってしまい、下腹部はいっそう突き出してきます。こうなると、おなかの下のほうで、圧迫されている胃腸の働きが鈍り、体はますます不調になってしまいます。

 体型のゆがみは、内臓のゆがみの表れですし、本当の健康体ではない、ということにもなります。 その証拠には、体型にゆがみをもっている人は、必ずなんらかの自覚症状、例えば肩が凝りやすい、背中が張る、腰がだるい、胃がもたれるなどの症状を持っています。
 ところが、このような症状をもっている人でも、自分の体型や症状に合わせて食べものや調理法を選んで食べていくと、いつの間にか不快な症状が消え、 体型もしだいに正常体型へと是正されていくのです。

 内服整形は、外見的な体型を整えるだけではなく、心身を本当の健康体につくりかえます。その結果、体内には防衛軍がふえて万病の元であるかぜの予防をはじめ、がんや成人病などの治りにくい病気の予防も完全にできるのです。
 この方法は、私の長年の研究や、数多くの体験例から 学び取らせていただいた、貴重なものです。

 正しい内服整形をするには、その食物がもっている成分だけを取り出して考えるのではなく、その食物を受け入れる人間側に立って作用を考えたときに、初めて内服整形の考え方ができる、ということを、皆さんの頭にしっかり刻み込んでいただきたいのです。

 この本は、皆さんが、自分のそれぞれの体型や症状に合わせて、正しい食べ方をマスターしていただくための参考書です。この本で、正しい食べ方の基礎をしっかりと頭に入れていただければ、一生涯「食べ方の誤りから発生する病気」とは無縁で過ごせます。

 とはいっても、知るは易し、行うは難しかもしれません。 しかし、正しいことがわかっていれば、いつか自然にできるよになるものですから、まずは自分のやりやすいこと一つから始めてみてください。それができたら、しめたものです。私から皆さんに「健康のカギ」をお渡ししますからどうぞ自分の手で「健康の扉」を開いてください。

かって私は、無知の愛のために、家族の要求のままに、食卓を整えていました。 その結果、最愛の父と夫をがんで失う結果になりましたが、皆さんには、この私の過ちを二度と犯していただきたくないのです。家族それぞれの体型や症状、その日の疲れの状況などをみながら、食べてもよいものを選んでいく・・・・・・これが本当の「愛」です。 愛ということばが出たところで、もう一つ基本的なことを、皆さんにお教えしましょう。それは 、人間の本当の健康は、残念ながら「食物」だけで完全にコントロールできるものではないということです。その基本は、実は「調和」なのです。
 
「七情」を乗り越える  私の国では、小学校に入るとまず「三字経」のなかの七情具を丸暗記させられます。読み書きや算数を覚えるよりも先に、人間として健康に生きる基本を教えられるのです。
  どんなに算数ができても、あるいはどんなに語学の達人でも、心身が不健康であったら社会で役立つことはできません。それどころか、自分自身がもっている寿命もまっとうすることはできないでしょう。

 七情具とは、人間が本能としてもっている七つの感情のことです。日本ではよく「喜怒哀楽」の四つを感情の代表のように言いますが、 私の国では「喜、怒、哀、慴、愛、悪、欲」 を感情の基本と考えています。
 この七情の中の
「喜」は、心の歓楽也と書かれ、すべての行動が自分の意志によってなされ、それが成功したときの喜びをいうと解説されています。
「怒」は心之煩悩也とあって、自分の意に反した状態、うまくいかない悩み、「哀」は 心之痛切也 と書かれていて、ただ悲しいだけでなく 痛切な悲しみと解説されています。
「慴」は心之煌恐也とあって、どうしてよいかわからないほどの恐れ、
「愛」は心之貧恋也で、独占したいというこころの狭い愛情、
「悪」は心之憎嫌也でみにくい心、
「欲」は心之思慕也で、物欲だけでなく欲しいと思う心そのものが、すでに欲であると戒めています。

 だれの心の中にでもある七情を、賢い人間は自分で整理していきます、七情を押さえ込んでいったときに、そこには博愛の精神が生まれてくると説いているのです。一方、この七情を自我のおもむくままに放置すれば、どれか一つの感情が心の中ではびこり、やがてはその感情の虜になって、自分自身を滅ぼすことになりかねません。

 憤りが強すぎれば「憤死」することになり、悲しみが深すぎれば、自殺も考えるようになるでしょう。このようなことにならないためには、七つの感情がいつもほどよくコントロールされていることが必要なのです。

 ところで、七情のコントロールは言い換えれば、七情を抑制する心をもつこと、乗り越えることです。 この七情を乗り越えたときに、初めて自分の心の中に調和が生じ、それが家庭の平和になり、社会の調和になり、ひいては国の平和、世界の平和へと広がっていくのです。

 私の国の人たちが、国語や算数の教育より先に、この七情具の教育を子どもにするわけが、少しはわかっていただけたでしょうか。
 自分の中に「調和」をもてない人間は、心身の健康は望めませんし、よい家庭も持てませんし社会人としても失格してしまうことを、物心ついたらすぐに教育するやり方は、賢い方法とは思われませんか?

 七情を乗り越える心は、人間の健康の基本ですが、この基本ができている人には、さらに衣、食、住、行(運動)の環境を整えて、健康を保つチャンスが与えられるのです。
 
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